JASMINE Jas Vegas #7に行ってきた

スクリーンショット 2013-12-19 23.43.34

本当に好きなアーティストというのは、もう宿命的に好きなのだ。
どんなに変な楽曲(と思えるもの)をリリースしたとしても聴くし、ライヴに行くし、彼らの評判をサーチしたりする。ブログにライブ日記を記す者もいる。そのアーティストが好きな仲間が数人いれば、居酒屋でビール片手にあーだこーだ激論を交わす。そのアーティストのことを知らない友人に対して、熱を込めて良さを語ったりする(たいてい理解されない)。

世間一般で知られている存在であれば、そのアーティストのことを語るのは容易だ。
しかし、世間一般で知られていない存在であれば、そのアーティストを何かしら言葉を紡いで語らなければならない。2009年6月に発売された「sad to say」でデビューを果たしたJASMINEだが、きっとまだまだ多くの人にとって知らない存在であり、もっと多くの人に知られる存在であるべきだと個人的には感じている。

ここまで書いておいて何だか、僕がJASMINEのライブを観に行ったのはたった1回。2013年12月19日。そう、ついさっきの話だ。「R&Bは馴染みがない」とか「リスナーは10代〜20代前半でしょ?」とか「いつライブやってるか知らない」とか、何かしらの理由をつけて足を運ばなかったし、もっと言うと最新アルバム「Complexxx」を聴いたのもつい最近のことだ。

その「Complexxx」がとんでもなくJASMINEらしいアルバムだった。等身大のJASMINEを感じるアルバムという意味だ。圧倒的な歌唱が前面に出ている。前作「GOLD」では、いくつかの作品をJeff Miyahara氏と共に詞を共作することもあったが、「Complexxx」の多くはJASMINE自らが手掛けている。ただ、別に誰が作詞しようが関係ないと思えるくらい、プロダクションがJASMINEの内面的な強さを軸としている。ダンス・ミュージックも心地良い。オシャレなショップで流れているようなハナクソみたいなBGMとは全く違う。魂が込められている。

「Complexxx」発売に合わせてライナーノーツが公式サイトでアップされている。JASMINE、第二章の幕開けと銘打たれて記されたライナーノーツには、このように書かれている。

正直、求められているものがずっと『sad to say』だったんで、この曲に縛られていたし、そういうのじゃないとシングルを切れなくて、それ以上のところにJASMINEを創り出すことができなくて・・・

「JASMINEを創り出す」という野心的な言葉も印象的だったが、「Complexxx」という作品を出すにあたり、あまりに正直に吐き出された言葉ではないだろうか。ぜひ上記リンクを辿り、改めて彼女の決意を読んで欲しい。歌い手として、苦しみの末に進化した楽曲を観ると、「なるほどな」と納得する。納得すると書くと僕の熱量は伝わらないかもしれない。一言で言うと、感動したのだった。「sad to say」を期待していた僕が、良い意味で裏切られたのだから。

人は、変われる。

恵比寿LIQUIDROOMで行なわれたJas Vegas #7。
マンスリーイベントとして開催してきた本イベントのファイナル。若者が多かったけれど、僕のような30近いオジサンもいたし、OL風の女性もいた。フロアで楽しんでいるお客さんを観ると、R&Bが好きな人もいれば、JASMINEそのものが好きな人もいる。色々なお客さんを呑み込むほどに、JASMINEの歌は真っ直ぐで、迫力があった。

クリスマスも近いので、サンタクロースのコスチュームで現れたJASMINE。それがピンク色だったのは、やはりデビュー曲「sad to say」を意識したのだろうか(単に可愛い色だからかもしれないが)。

「High Flying」で始まり、「Complexxx」に収録されている「Best Partner」「touch me on the beach」「Weekend High」「HERO」などをバランス良く織り交ぜる。驚くのは、全く違う作品だと思っていた前アルバム「GOLD」の楽曲も、凄く今のライヴにマッチしていたことだ。そりゃ同じ人が歌ってるし演ってるんだけど。

それでも、堂々とパワフルな「sad to say」が聴けたのは本当に喜ばしいことだった。「Cry…cry…」とJASMINEが歌い始めると、やっぱりフロアは沸いた。みんな聴き入っていたし、口ずさんでいた。

何だろう。この曲が持っている魔法のような気持ち良さは。曲の中身は、恋愛経験の浅い高校生が好きな男に振られて自暴自棄になっているような、30近いオッサン(再)には共感できない歌詞のはずなのに。切なくなるんだよね笑

これが才能あるアーティストが持てる力だし、最大公約数に訴えられるという価値なんだと思う。

JASMINEはライブの中で「またJas Vegasで全国を回りたい」「もっとJas Vegasを大きくしたい」「Jas Vegasに来てくれたみんなと一緒にいたい」と大きな野心を、彼女が感じるささやかな喜びと共に語ってくれた。どれも本音だと思う。

ちなみに、この日初披露された「Countdown」だけど、「GOLD」とも「Complexxx」とも全く違う。かなりクラブミュージックの色が強いめちゃくちゃエッジ利いた楽曲です。勝負曲、っつーかMV観てると、何だか安室ちゃんのテイストも感じるなあと。

JASMINE、引き続き要チェックやで。

漫才の歴史が変わったウーマンラッシュアワーの凄さ

(ネタバレ注意)

年末の風物詩と言えば、その年の最高の漫才師を決める賞レース。
2001年から10年の歴史を刻んだM-1グランプリ。その後継番組として2011年から始まったTHE MANZAI。僕は2002年から毎年観続けて、幾度となく爆笑され、時には感動さえしてきた。

結成10年の漫才師しか出られなかったM-1グランプリと異なり、THE MANZAIは結成年に関して縛りはない。中川家や博多・華丸大吉、2丁拳銃、シャンプーハットなどベテラン勢も参加する。若手だけが参加したM-1グランプリでは、その時流に沿ったタイプの漫才がどうしても目立った(そこに差異を見出す漫才が優勝を攫っていた)。

けれどTHE MANZAIは漫才の種類にもバリエーションが出てくる。
おぎやはぎの影響を受けたような緩い漫才を見せる風藤松原。アカデミックな匂いのぷんぷんする学天則。変化球のレイザーラモン。ビートたけしへのリスペクトを感じさせる東京ダイナマイト。直球勝負のスピード漫才・NON STYLE。横綱相撲の千鳥。今年は特に、その多様さに舌を巻いた。1票も入らなかったレイザーラモンも学天則も、おそらく普段から劇場を沸かせているような熱を感じることができた。凄かった、今年は、どの漫才コンビも。

その中で群を抜いていたのが、オジンオズボーンとウーマンラッシュアワー。特に、構成力が素晴らしかった。残念ながら激戦区のAグループで涙を飲んだオジンオズボーンの漫才を、ビートたけしは以下のように評した。

えー、すごいねえ。もう計算通りだねえ。今ね。ネタフリからオチまで。見事に変えていって、見事につくったね、このネタ。

これ、漫才師にとっては最高の評価だったと思う。
いかに精巧なネタを作っても、どこかでズレが生じてしまうもの。オジンオズボーンのようなぶっ飛んだ漫才をするコンビは、客と漫才師の間で溝が生まれそうなものを。見事だった。

それを上回った千鳥。紙一重だった。大悟の奇想天外の発想に加え、近年ツッコミのノブの力量が増している。バラエティ番組への出演も増え、言葉に厚みが出てきた。味・・・。出演者の中で、ツッコミのレベルはダントツで高かったと思う。

そして、タイトルのウーマンンラッシュアワー。

天才・島田紳助に「大阪に帰ってきたときに、テレビでたまたま彼らの漫才の後半2分のみを見たが、その2分はM-1の決勝で見たら93、4点は付けていた」と言わしめた。2010年でさえその評価だったが、年々着実に力を付けてきたのだと思う。

細かくネタを挟みつつ、圧倒的なスピードで「4分」に収めることのできる破壊力。その上手さは毎度感心するのだけど、今回は2本のネタが有機的に絡み合った。特に2本目。「ああ、1本目と同じやん」とガッカリした視聴者も多かったことだろう。だが後半、その様相をガラリと変えてみせる。ツッコミの中川を悪役に仕立てたボケ・村本。見え透いた好感度UPを目論んでいたはずの村本が、一気に超〜嫌な奴になってみせる。ネタの最後には「離婚しろ!」と暴言。ただ喧嘩しているだけに見えるのだけど、たぶん二人の風貌が爽やかだからだろう(≒「怖くない」という意味)。客は怖がらず、たぶん爆笑のままにネタを見終えた。

ギャップを作る構成力。オジンオズボーンと同様、計画通りのネタ運びだったように思う。爆笑のポイントが一つもズレていない。それどころか、要所、要所の笑いの量さえ計算尽くだったはずだ。

決勝の各グループを勝ち上がったのは、千鳥、ウーマンンラッシュアワー、NON STYLE。スピード勝負のウーマンンラッシュアワーとNON STYLEが勝ち上がったので、千鳥に勝機が出てきたかなと思っていた。それくらい、どのコンビも拮抗した良いネタだったし、それくらいでしか勝ち負けを分けるものがないなと思ったのだ。

しかし、結果はウーマンンラッシュアワーが制した。昨年のハマカーンもそうだったけれど、M-1グランプリの決勝に進出しなかった漫才師だ。何となく長く漫才に触れていると、「あ、このコンビ、●●に影響受けてるんじゃないか?」と思うことがある。でも、ウーマンンラッシュアワーは誰に影響を受けているのか分からない。大雑把に言えば、ボケを連射するNON STYLEやナイツと同様の種類なのは間違いないのだけど、それを爆笑に持っていくテクニック、構成力は比類ない。

今日をもって、漫才の歴史が変わった。

若き漫才師は、たぶんウーマンンラッシュアワーのネタを参考にするようになるだろう。
ギターの速弾きのように、漫才のスピードは練習すれば上げることはできると思う。しかし、どこで何をぶっ込むかを決める勇気は、誰しも真似できるものではない。上から目線な漫才評論家を気取る私ですが、そんなヒネクレ者の私をもっと笑わせてくれることを期待しています。また来年。年始のR-1ぐらんぷりも楽しみっす。