「バチェラー・ジャパン」が面白すぎて、春

ネタバレはありませんので、ご安心ください。

毎週金曜日にAmazonプライムビデオで配信されている「バチェラー・ジャパン」。
1人の男性(以下「バチェラー」…独身者という意味)が、25人の女性の中から1人を選ぶという恋愛バラエティ番組。各話の最後にローズセレモニーというイベントが開催され、バラを受け取らなかった女性はバチェラーのもとを去るという仕組みだ。

詳しくはAmazonの特集ページをご覧ください。

もともとは2002年にアメリカで放送されていたという「The Bachelor」。
現在では全世界30か国でエピソードが製作されているとのことだが、2017年に日本でも初めて番組が「輸入」されたことになる。参加男性も参加女性も、もちろん視聴者である我々も初めてのこと。勝手がイマイチ掴めないこともあり、僕もかなりドキドキして番組を楽しんでいる。(控え目な言い方でした。どハマりしています!)

冒頭でも書いた通り、極力ネタバレは書かないようにしたい。
Twitterで「バチェラー」と検索すれば、だいたいの流れが判ってしまうけれど、これから番組を観る方は何もチェックせず最初のエピソードから楽しんで欲しい。

番組のコンセプトだけを読むと、「あいのり」「テラスハウス」などの番組を想像されると思う。
そのイメージは間違っていないと思うけれど、僕はけっこう「バトルロワイヤル」に近い感じがしている。

もちろん違いはある。
バトルロワイヤルは殺し合いだし、バチェラー・ジャパンは恋愛模様がテーマだ。

共通点は「Dead or Alive」であることだ。その決まり方は違うけれど、
バトルロワイヤルは生徒同士の殺傷により、生命の有無が決まる。
バチェラー・ジャパンはバチェラーの選択により、参加継続の権利が決まる。バチェラー・ジャパンにおける最終的な生存とは、すなわちバチェラーの花嫁候補になることを意味する。

女性は生存するために、ありとあらゆる手段でバチェラーの気を惹かなければならない。
女性同士の嫉妬/駆け引きに勝ち、また選ばれるかどうかの不安にも耐えなければならない。(しかも段階的に女性はふるい落とされていく)
これは男性と女性の恋愛模様を描いているのだけど、全くフェアじゃない。
男性であるバチェラーは、25人の女性から選択する権利を最後まで持っているからだ。

フェアじゃないからこそ、不思議な面白さがある。

「友達を作りに来ているわけではない」
「いつも(バチェラーのことを)見てるから、見てるから、ちゃんと私を見てて欲しい」
「私が一番良い女だと思ってる」
「(「大事にしているのは?」という質問に)自分の感情、自分の意思」
「(嫉妬や愛情が入り混じり)自分の感情がいまいち分からない」
「楽しそうにデートから帰ってきたから、能天気野郎だと思ってます」

女性たちは自分の感情を正直に話している。
また画面を通じて、彼女たちが本気でこの「バトルロワイヤル」に臨んでいることも判る。
何話も観続けていると、推しメンのような女性が出てくるのも不思議で、「あの女性は落ちて欲しくない!」という風に感情移入してしまうのだ。

人は、何を基準に恋愛しているのだろう。
25人の女性は様々で、例えば、

  • 自分に自信がある女性
  • 自分の感情を正直に伝えられない女性
  • 太陽みたいに周りを明るくしてくれる女性(ギャル)
  • 料理が上手だけど嘘をつきがちな女性
  • バチェラーに対して気持ちを真っ直ぐ伝えることができる女性
  • 癒し系でほっこりする早稲田大学出身な女性
  • .
    .
    容姿、性格、特技、価値観、バチェラーへの気持ちなど、色々な観点があると思うわけだけど(それも人それぞれ)。ドラゴンクエストみたいな戦闘力チャートで示したときにバランスが良い女性か、1つだけ思い切り特化している女性かもあるし。

    僕の好みとは違うけれど、僕のバチェラー・ジャパンにおける、推しメンは後者のタイプの女性です。誰が選ばれるんだろうと、まだ3話を残しつつも楽しみで仕方ありません。
    ローズセレモニー前の、バラを受け取れるか不安な女性の表情も、また、たまらんのです。ただの変態っぽい感じになりましたが、特にエピソード8と、エピソード9は涙なしでは観られなかったです。

    「人生はドラマだ」
    それは長期的な視点に立ったから言える言葉であって、毎日、周りにいる人たちとの関係性においてドラマチックが表出しているとは限らない。

    非日常であり、不条理なルールのもとだからこそ、人間の本質/本心が露出されてしまうことがあると思うし、特にこの番組では、心が痛むほどに女性たちの生き様が垣間見えるような気がしてならない。

    最新話では、「5人→4人」に絞られ、いよいよ物語は最終章へと進んでいく。
    バチェラー・ジャパンから目が離せない。

    Twitterで「バチェラー」と検索すると、こんな感じの感想が。笑

    村上隆「村上隆の五百羅漢図展」に行ってきた

    takashi murakami exhibition

    takashi murakami exhibition

    久しぶりのエントリ。
    2月を飛び越えて3月になってしまったけれど、実感としてもそんなところ。
    軽くでも良いので、ちょこちょこ更新していこう。

    という意気込みの中で、ずっと行きたいと思っていた村上隆「村上隆の五百羅漢図展」(森美術館、六本木)に行くことができた。
    現代アートなのか、サブカルチャー的なマンガなのか、文学というコンテクストなのか、巧妙な引用なのか、卑屈なパクリなのか判らないけれど、巨大で壮大な世界観の前に、ただただ呆然とする時間を過ごした。そこには善悪や好き嫌いなど、もはや基準値としてはどうでも良くて、村上隆にしか描けないオリジナリティを前に感心せざるをえなかった。

    「株式市場とアート市場は同じ」という。
    自身の作品が15,6億円という金で落札されただけあって、彼の発言には説得力がある。

    「お客さんの期待を上回っていくために、開発費を投じて、作品を作っていかなくちゃいけない」
    そんな旨の発言のVTRが流れていたけれど、たぶん、この「お客さん」というのはアート作品を純粋に楽しむ我々のような「庶民」ではないだろう。

    かなり意図的にターゲットを外し、世の中の文脈を意識しながら、作品を作り続けていく。

    これは私の感覚でしかないので、真偽のほどは定かではない(というか、真偽なんてどうでも良くて)。
    その外し方に嫌悪に近い感情を抑えながらも、大胆にコンセプチュアルな作品を生み出す村上隆のクオリティに言葉を失う自分がいた。大竹伸朗とは明らかに違う。創作への純粋さは感じられなかった。

    展示会はスマートフォンでの撮影が許可されていた。
    パシャパシャというiPhoneの音がフロアに響いていたけれど、冷たさに似たナニカを感じた。
    図録買わなかったけど、買うべきだったかなあと今更ながら思う。

    読み返してみると、「あれ?この人、村上隆のことずいぶん嫌いなんだな」って思われるかもしれないけれど、それは本意ではないんです。自分の表現を借りるなら、善悪とか好き嫌いとか超えたところに村上隆というアーティストはいて、ぐいっと心根を掴んで、それで放置されて今に至る。ぐわっと書き殴ったけど、おそらく正直な感覚だと思うのです。

    積ん読リスト(2016年1月)

    年末にエントリした通り、2015年の積ん読リストをちょっとだけ片付けた。
    誰かが言っていたけれど、「書物」というのはたくさんの人々の知恵が詰まっているものだと思う。

    作家が著名であろうとなかろうと、多くの本は一人の人間による出版物で無いことが多い。
    作家の力に加えて、編集者を始め出版に関わる多くの人たちの英智が詰まっているし、読ませるための工夫が至るところに施されている。それでいて「当たり外れ」があると感じるのは、出版文化がこの国に根付いている証拠でもあるように思うわけです。

    なので、なるべく本はこれからも読んでいきたいし、
    小説や仕事で役に立つ情報に偏ることなく、色んな種類の本も読みたいなと思う次第です。
    今後もこの形のエントリを定期的に行なっていき、読書スタイルの変遷を追えるようにしていければと思います。


    ◆『The Long Good bye -ロング・グッドバイ-』レイモンド・チャンドラー
    村上春樹翻訳の古典。だいぶ前に買ったけれど、分量からなかなか読み切れていない。本作に限らず、海外ものの大作って手をつけられていない。『グレート・ギャツビー』くらいの量だといけるんだけど。


    ◆『忘れられた巨人』カズオ イシグロ
    こちらは昨冬購入したもの。評判になっていたけれど、手をつけていなかったもの。買ったのに、やはり手をつけていなかったので改めて。


    ◆『美しすぎる少女の乳房はなぜ大理石でできていないのか』会田 誠
    会田誠の作品って、けっこうどれも好きです。個展にも行ったし、MIZUMA ART GALLERYが中目黒にあった頃のギャラリーにも立ち寄ったことがある。訴えかける力があるんだよなあ。


    ◆『MAKERS―21世紀の産業革命が始まる』クリス・アンダーソン
    『ロングテール』『FREE』などの著者としても有名。本書が発売されてから日が経っているけれど、「作り手」が主要になりそうな現代だからこそ、やっぱり読むべきだと直感しております。


    ◆『リーン・スタートアップ』エリック・リース
    これも導入部で挫折しちゃいました。本ブログでもちょいちょい紹介しているフローレンスの駒崎弘樹さんの対談記事で出てきたことがきっかけかな。


    ◆『MBA クリティカルシンキング コミュニケーション編』
    グロービスに通ったのは、もう5年前とかになるなんて。時が経つのは早いもの。時々グロービスの本は読み返しているけれど、本書は買ってから積ん読状態なので早めに読んでみようかなと思った次第。

    そう言えば、今年は毎年恒例で読んでいた『7つの習慣』を読めていない。
    こちらも時間を見つけて読んでいこう。定点観測できる書物って、貴重なものだから。

    【Apple Music】2015年音楽まとめ

    7月に日本でApple Musicがローンチした。
    Spotifyなどの定額音楽配信サービスが日本国内で悉くローンチが見送られていた背景もあって、Apple Musicはローンチ直後から熱烈に日本の音楽ファンに歓迎されていたように思う。テンションの差こそあれど、無料試用期間を経ても、色んな人が使い続けているという声は良く耳にする。

    ローンチ直後のエントリで書いたが、待望していただけあって殆ど毎日Apple Musicを使った1年だった。おかげでCDという形態での購入はたった1枚に留まってしまった(買った理由は初回特典のDVDに魅せられたため)し、TSUTAYAさんにも1度も行かなかったと思う。それはそれで寂しいかもしれないけれど、少なくとも昨年に比べれば数段音楽への関心度は高まったと思う。間違いなく。

    このエントリでは、そう言った御託はさておき、Apple Musicで良く聴いた作品をピックアップしていければと思います。思いつきのまま、順不同で。2015年にリリースされた曲には「★」をつけておきます。半数以上は2014年以前の音楽ですが、改めて良さに気付いたり、今まで知らなかった音楽に出会えるという利点もApple Musicにはあります。YouTubeへのアクセスじゃ、何だか味気ないものね。VIVA!Apple Music!

    クラムボン「triology」

    クラムボン「triology」。5年ぶりのオリジナルアルバムでした。

    Kai Takahashi「Soda Pop - Single」

    Kai Takahashi「Soda Pop – Single」。軽快なメロディが気持ち良い。

    Fishmans「Neo Yankees' Holiday」

    Fishmans「Neo Yankees’ Holiday」。改めて良さに気付いた1年でした。

    チャラン・ポ・ランタン「テアトル・テアトル」

    チャラン・ポ・ランタン「テアトル・テアトル」。豊洲野音で2回目、素晴らしかった!

    The Libertines「Anthems For Doomed Youth」

    The Libertines「Anthems For Doomed Youth」。再結成、待ってたよ!

    !!!「As If」

    !!!「As If」。朝霧JAMでも最高でした!

    The Paradise Bangkok Molam International Band「21st Century Molam」

    The Paradise Bangkok Molam International Band「21st Century Molam」。バンコクのバンド?に出会えました。

    やけのはら「SUNNY NEW INSTRUMENTAL」

    やけのはら「SUNNY NEW INSTRUMENTAL」。のんびりした休日に聴いてました。

    The Strokes「Is This It」

    The Strokes「Is This It」。今までストロークスが良いなんて思わなかったんだけど。

    H ZETTRIO「★★★」

    H ZETTRIO「★★★」。JAZZなの何なの最高なの?!

     


    Kai TakahashiはCanonのプロモーションで楽曲が使用されていて、プロダクトの世界観にピッタリだなと感心した。アーティストにも企業にもプラスになるということは、カルチャーにとっても価値があること。Pharrell Williams「Happy」の時も感じたけれど、こういうプロモーションがむくむくと伸びてくるのは本当に見ていて気持ちが良いものです。Kai Takahashi(高橋海)はLUCKY TAPESというバンドのフロントマンとのこと(こちらはApple Musicでは配信されていない様子、残念)。要チェックです。

     


    H ZETTRIOは最新アルバムはApple Musicで配信されていないのが本当にもったいない。
    あまりに悔しいので、公式YouTubeの「Beautiful Flight」をEmbedしておきます。超かっこいいです。朝霧JAM2015ではRafvenの裏だったのでめちゃくちゃ空いていたけれど、演奏が洗練されてて本当に良かった。彼らのホーム・グラウンドで、彼らの音楽にも酔いしれたい。

     

    ということで、特に気になった2つだけは詳述してしまいました。
    クリスマスイヴにはThe Beatlesの楽曲も配信されたし、邦楽もどんどんラインナップしていけば良いのにと思う年の瀬です。

    2016年の音楽ライフも楽しみ。
    というか、自分でも色々生み出さなくちゃ。

    積ん読リストを年末にちょっとだけ片付けた

    2015年は意識的に本を読んでいこう。
    そう決意した年始の誓いだったのだけど、残念ながら、積ん読リストは殆ど更新されず。。。
    それでも、2015年12月とある日に気付けたのは良かった。積ん読リストをちょっとだけ片付けたので報告を。

    ***

    ◆『イノベーションのジレンマ〜技術革新が巨大企業を滅ぼすとき〜』クレイトン・クリステンセン


    イノベーションって、言葉にするのは簡単だけど、本書を読んでみて実際にイノベーションを目指せる組織にするのって本当に難しいんだなと実感した。

    要約すると技術には2種類(持続的技術と破壊的技術)ある。
    前者はこれまでと同様のビジネスモデルが通用するが、後者は通用しない。
    多くの既存顧客は当初は破壊的技術を取り入れたプロダクトなど欲していない。なので企業側も破壊的技術を取り入れようか経営判断に悩む。そのように市場に対して逡巡している間に、破壊的技術をメインに据えてきた企業が市場を独占し、巨大企業(持続的技術でメシを食ってきた企業)を蹴落としてしまうというのがだいたいの要旨で間違いないだろう。

    思い当たる節は幾つもあって、自分事として納得することが多かった。難解な箇所もあり何度も船を漕いでしまったのだが、経営本としては「古典」にあたる本書を年内に読み切ることができて良かったと思う。

    ◆『ジョナサン・アイブ』リーアンダー・ケイニー


    AppleのChief Design Officerであるジョナサン・アイヴにフィーチャーした本。

    ブランディングやマーケティング、プレゼンテーションに関するApple関連の著書は山ほどあったけれど、純粋にデザイン(の本質)にフィーチャーする著書はなかなか少なかったように思う。デザインを取り上げるならば彼をフィーチャーしないわけにはいかない。秘密主義のAppleの中で、筆者が丹念に取材し続けたのが分かる1冊になっている。

    終盤は、やっぱりスティーヴ・ジョブズの言及が多く、主役であるジョナサン・アイヴのお株をほぼほぼ奪ってしまった。そのティッピングポイントは、Appleがもともとデザインに対して持っていた価値観が昇華して、かなり最高度水準まで洗練されてきたことで、「デザインが前提」としてAppleの中に浸透していったことを証明しているようにも思う。

    ちなみに本書は特にジョナサン・アイヴにオーサライズを取っているわけではなさそう。
    この手の人物評は過剰に良く描かれるか、その逆かどちらかなことが多いけれど、非常にフェアな視点で書かれているような印象を受けた。

    彼に影響を与えたロバート・ブルーナー(かつてのAppleで工業デザイン部門の責任者を務め、ジョナサン・アイヴをAppleに引き抜いた人物)の言葉も面白い。

    退屈な仕切り机の中ではデザインなんてできない。そんなところじゃだれも働きたがらない。天井が高くて気持ちの高揚するようなオープンスタジオが絶対に必要だ。それがものすごく大切なんだ。それが仕事の質を左右する。やる気を生むんだ。

    ***

    まだまだ積ん読リストがいっぱいあるので、2016年こそはしっかりインプットの質を高めていきたい。